ビターエンドロール。
では3巻のご紹介です!
今回はホームレス編です。
「ビターエンドロール」を読んで頂きたい方
「ビターエンドロール」は医療ソーシャルワーカー、通称MSW(Medical Social Worker)と呼ばれる職業についている主人公の物語です。
MSWが主人公の漫画はかなりめずらしいです。
MSWとは主人公の犬飼MSWも作中で述べていますが、
「患者さんの病気やケガその後遺症から起きる問題や不安に寄り添い その後の治療や日常生活をスムーズに送れるように、つまり社会福祉の立場から患者さんを支援する」
という仕事です。
もっと簡単に言うと病気治療そのものなどは医師や看護師が対応しますが、それ以外の困ったことはMSWが守備範囲とも言えます。
医療機関で働くソーシャルワーカーで、社会福祉士資格、または精神保健福祉士資格という国家資格取得者のことも指します。
この新人の犬飼MSWが対応するケースによって物語が進みます。
私もMSWですが、私からみても大変秀逸な作品だと思います。
自分がこの患者さんならどうやって支援しようとか、自分ならこうするという感じで読みました。
もちろんMSWではない方もMSWってこういう仕事をしているんだということが理解できると思いますし、MSWの日常業務や生活保護の実態がリアルに描かれています。
あとはすぐに泣いてしまう犬飼MSWとそのプリセプターの馬頭MSW。
この二人の掛け合いも笑えます!
というわけで、ぜひ「ビターエンドロール」の世界を楽しんでもらいたいため、漫画紹介させて頂きます!
ネタバレありますので、未読の方は注意してください。
【電子書籍はこちら】 ⇒ ビターエンドロール3巻病気が傷つけるのは「肉体」だけじゃない。
医師や看護師とは異なる視点から、あなたを助ける人がいる――「医療ソーシャルワーカー」の物語、最終巻!主人公・犬飼賢児は新人「医療ソーシャルワーカー」だ。医療ソーシャルワーカー(通称 MSW)は、社会福祉の観点から患者を支援する仕事。病気やケガを負ったとき浮き彫りになる様々な問題(お金、仕事、家族にまつわるもの…)の解決を図る。
「病気と向き合うのは、一人じゃなくていい。本人と家族だけじゃなくていい」
痛みを抱える人に、自分は、病院は、社会は何ができるのだろう。一緒に答えを探しにいこう。
●「親が認知症になった」
●「ゴミ屋敷は自己責任?」
●「ホームレスと社会」社会福祉×医療――今の時代を切り取る新医療ドラマ!
引用:講談社コミックプラス
この巻の紹介と感想
今回の患者さんは32歳男性、胃潰瘍と初期胃がん。
なんとこの若さでホームレス。
医療保険証なし、お金なし、頼れる親族なし。
ネットカフェを転々半グレのような行為もしているようです。
マルトリートメントなのかトラウマなのか何かしらの障害をまわりに悟られないように、他者とバリアを張って生きているようです。
その心のバリアを取り除こうと犬飼MSWが奮闘します。
ところで、かつてに比べてホームレスの数は減っていると言われています。
全国的な数字だと、2003年の25,296人以降、徐々に減少してきています。
2011年には半数以下の10,890人です。
2012年には1万人を切って9,576人。
2019年には4,555人となっています。
ホームレス人数減少の理由としては、
「自立支援法で、一定期間入所して生活・職業相談を受け自立を目指す自立支援センターや、緊急的な一時宿泊所であるシェルターなどの設置が一定の効果を挙げたこと、自立を支援する民間団体などの活動の成果」
と言われていますが、個人的には作中にもあるネットカフェや漫画喫茶などが普及し、そこで寝泊まりしているホームレスは捕捉されにくいため、調査結果としての数字が減っているのもあるとは思っています。
いずれにしろ、ホームレスはゼロではなく、一定数、病院に救急搬送される方はいます。
馬頭MSWも言っていましたが、ホームレスは環境と状況的に不摂生のため、死ぬリスクが高い現象であるので、MSWにとっても神経を尖らせる案件となります。
さて、ビターエンドロール、早くも終わってしまい、寂しい限りです。
本作はかなり現場に近い感覚でしたし、リアリティもありました。
またMSWとしても大変勉強になった漫画となりました。
またどこかで復活を願いたいところですね。
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